栞理から話を聞いたあたしは、どうしても思考回路がそっちの方向へと向かってしまっていた。


亜耶には暴力団がついている。


それがとても現実味のある話に感じられて、軽く身震いをした。


亜耶と2人でお弁当を広げていても亜耶の話がなかなか耳に入ってこない。


「菜月、どうしたの?」


少し心配そうな顔をして亜耶がそう聞いてくる。


あたしは慌てて首を左右にふった。


「な、なんでもないよ?」


「今日ボーっとしてない?」


「そ、そうかな?」


あたしは笑顔を作り、お弁当のウインナーを口に入れた。


正直、食事所ではなくて味なんてよくわからない。


「午後からの体育嫌だねぇ」


亜耶が言う。


昼食を食べて眠気と戦いながら体を動かすのは、なかなか辛いものがある。


「そうだね」


あたしは亜耶の意見に賛同した。