呆然としてしばらくその場から動くことの出来なかったあたしは、ハッと我に返って川上君の後を追いかけた。


「川上君!」


後ろから声をかけると、川上君は立ち止まって振り向いた。


「どうして亜耶を止めなかったの!」


「どうしてって?」


川上君はキョトンとした表情であたしを見つめる。


本当にわかっていない様子だ。


「あんな3人組と一緒に行かせるなんて、危ないでしょ?」


あたしがそう言うと、川上君は少し沈黙したあと声を上げて笑いだしたのだ。


その笑い声にあたしはたじろいてしまう。


笑う場面じゃないはずだ。


「なにがおかしいのよ!?」


怒ったようにそう聞くと、川上君はようやく笑うのをやめた。


「そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ?」


川上君はいつもの優しい笑顔を浮かべてそう言った。