あたしが机に座ったとほぼ同時に亜耶が教室に戻ってきた。


しかし、亜耶は出て行ったときよりも疲れた表情をしていて、呼吸が乱れている。


あたしは慌てて亜耶に駆け寄った。


「どうしたの?」


そう聞くと亜耶はうつろな目であたしを見つめた。


その表情に心臓がドキッと跳ねる。


公園で見かけた亜耶にそっくりな少女を思い出す。


「大丈夫だよ。告白が、少ししつこくて……」


そう言い、亜耶は今度はしっかりとした目であたしを捕らえた。


本当にそうなんだろうか?


告白がしつこかったと言っても、あれから数分しか経過していない。


不安になるあたしの横をすり抜けて亜耶が机に座った。


あたしは亜耶を見下ろす形になったのだが……。


亜耶の胸元が濡れているのに気が付いた。


透明な液が付いていて、それが蛍光灯によってキラキラと光って見える。


亜耶は拭いたつもりかもしれないが、ぬぐい切れていない液体が首筋にも残っていた。