その顔を見た瞬間、また心臓が大きく跳ねた。


やっぱり、あたしはこの人の事が好きだ。


そんな気持ちが胸の奥からジワジワとせりあがって来るのがわかる。


どうしても気持ちを誤魔化す事なんてできない。


我慢したり、諦めたりすることだって難しい。


「やっぱり、ここが古川さんの家だったんだね」


穏やかな口調と優しい笑顔でそう言われ、あたしは無言になった。


たったそれだけであたしの心は川上君に持っていかれてしまっている。


「今日、一旦は学校に来たでしょ? でもすぐにいなくなっちゃったから……」


そう言いながら、川上君は鞄からプリントを一枚取り出してあたしに差し出した。


「これ、今日配られた行事日程表」


あたしはそれを受け取り、川上君を見上げる。


こんなもの、明日学校に行けばもらえるのに。


「これをあたしに届けるために、ここまで来てくれたの?」


「そうだよ?」


無邪気な笑顔でうなづく川上君。


その笑顔に胸の奥に愛しさが生まれる。