栞理に連れてこられた先は、あの使われていない教室だった。


教室内は相変わらず埃っぽくてあたしは顔をしかめた。


「どうしたの?」


あたしは怪訝な顔をして栞理に聞く。


こんな場所へ連れてくると言うことは、あまり人には聞かれたくない話なんだろう。


「今朝、ケンジが死んだ」


突然の言葉にあたしはキョトンとして栞理を見た。


そうとうマヌケな顔をしていたんじゃないかと思う。


「え、ちょっと、待って?」


いきなりすぎて全くついていけない。


なにかの冗談だろうか?


死んだと思い込ませておいて、実はどこからかケンジ君が出てくるとか?


そんな事を考えて周囲を見回す。


しかし、埃の積もった床にはあたしと栞理の足跡しかなくて、誰かが隠れている様子もない。


「本当の事なの?」


やっと真剣な表情になれて、あたしはそう聞き返した。