ケンジ君と別れたのは夕方頃だ。


あれから言うと9時間くらい経過している。


《あ、でもそんな心配しないでね? あいつよく友達の家に泊まったりしてるから》


「そ、そうなんだ?」


あたしはドキドキしながら栞理の話を聞いた。


《うん。でも夜にケンジの両親から帰ってこないって連絡が入ったから、一応菜月にも知らせておこうと思って》


「そっか……」


だから栞理の口調は落ち着いたままなんだ。


ビックリしたけれど、そんなに心配する必要がないとわかって胸をなで下ろす。


《まぁ、ケンジから連絡とかあったら、早く帰れって言ってやってね?》


「うん、わかったよ」


それだけ言うと、あたしたちは電話を切ったのだった。