「だから、菜月ちゃんみたいな子ちょっと気になったりして」


その言葉にあたしの心臓はドキンッと跳ねて、緊張してしまう。


たこ焼きの味なんてわからなくなって、ケンジ君を見た。


「菜月ちゃんって初々しいよね」


「そ、そんな事……」


そんな事を言われたのは初めてで、返事に困ってしまう。


その時だった。


栞理の悲鳴が聞こえてきてあたしたちはそちらへ視線を向けた。


栞理は持っていたソフトクリームを地面に落とし、座っていた場所から逃げ出した。


それとほぼ同時に女子たちの悲鳴があがる。


自分たちがいる場所からじゃ何が起こっているのかわからなくて、あたしは椅子から立ち上った。


その瞬間。


栞理たちが座っていたベンチの下にうごめくものが見えた。