映画を二時間程で終えた二人は外に出た。
透は舞に気付かれない様に深呼吸を一つし、後ろ姿にの舞を見た。
「映画面白かったですね。」
足取り軽く舞が振り向いた。
ふわりとスカートが揺れた。
「あっうん…そうだね。この後なんだけど時間ある?」
「えっ?あっはい。」
「時間が大丈夫なら晩御飯食べないか?」
透の誘いに一気に舞の顔がほころぶ。
「はい。是非。」
二人は並んで歩いた。
「今からじゃ早いし、何処かで時間潰そうか?」
「じゃプリクラ撮りませんか?」
透は頭の中がクエスチョンマークだらけになった。
聞いた事のない物を提案されたからだ。
「えっ…もしかしてプリクラ知りませんか?」
透の表情を読み取ったのか舞が聞いてきた。
透は頷いた。
「じゃ、こっちきて!」
舞は透の手を掴み歩き出した。
繋いだ手から心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思う程、透の鼓動は早くなった。
柔らかい手ですらっとした指。
これが女の子の手なんだと思った。
程なくして建物に入ると、そこは大きな音で音楽が鳴り舞と同じくらいの年齢の子たちがいた。
一際自分が浮いているのが透にもわかった。
「さっ入って!」
目の前には大きな箱の様な機械があり、垂れ下がった幕をくぐると、開けた空間で一面の壁にライトとその真ん中にカメラらしきものがあった。
舞は戸惑う透をよそに手慣れたようにコインを数枚、機械に入れた。
すると、カメラの下にある画面が変わり音声が流れた。
舞は画面にタッチをして、何かを選んだ。
「撮るからカメラ見てください!」
言われた通りにカメラを見た。
カメラと画面は伝導しているのか、自分の姿が画面に映る。
3・2・1とカウントしシャッターの音がする。
すぐさま画面に撮ったばかりの写真が映し出された。
「深海さん次!次は笑って!」
またカウントが始まる。
さっきとは図柄が違う。
画面をタッチしてたのは、これを選んでたのか?と透は思った。
派手な証明写真のような物かなと、思った。
舞に言われ透は少し笑った。
写真で笑って撮る事をした覚えがない透にとっては違和感を感じた。
三枚目を撮る時には舞と透の距離が近くなっていた。
カウントが始まる。
「舞…僕と付き合ってくれないか?」
カメラ越しに舞に告白をした。
画面の僕は画面の舞目があった。
「えっ?!」
驚いた舞はシャッター音と同時に僕に向き直った。
「深海さん…今なんて言った?」
次のカウントが始まる。
透も舞に向き直り、舞の手を掴んだ。
「僕は君が好きだ。僕と付き合ってほしい。」
「はい。」
透は舞の手を引き寄せ抱きしめた。
最後のシャッター音が聞こえる。
画面に映し出された二人は抱き合い舞の表情は幸せそのもだった。