「奏はいいなぁ~。モテモテで。」

俺の後ろでぶつくさしているのは、
内藤 佑樹(ナイトウユウキ)。

「何がモテモテだ。アホ。」

ゴツンッと佑樹の頭を叩く。

「痛ぇなー。でもさぁ、ほら。」

横に並んでいる女子の列の後ろを指差しながら言う佑樹。

「きゃ。月影さんがこちらを見たわ!」

「やっぱり格好いいわ~。」

一瞬見ただけなのに大層な盛り上がりの女子たち。

「.........。」

「ほ~らな?」

「好きでもないヤツに好かれても嬉しくねぇよ。」

「え~。いいじゃん!モテモテで。」

「...ったく。」

え~。とか何とか言ってるこいつをよそに俺はスマホをいじった。

すると、横を女子の軍団が通った。

「うっわ~。あたし、9番だぁ。最悪っ。」

「ちょ、瞳子。その話し方、直しなさいよ。あなた本当にお嬢様なの?」

「え?あ、うん。まぁ!私、9番なの。もう最悪ですわ。」

瞳子と呼ばれたそいつは急に話し方を変えた。
何だコイツ。と思ってそっちを見ると...。

うわっ。美人さんじゃん。