『………。』



だが、その子はそれっきりで答えなかった。



『…言いたくないなら言わなくていいよ

それよりさ!お腹空かない?
今、丁度お昼食べようとしてたんだ!!
焼きうどんだけど…食べれる??』



『…そうだね!食べよう?
ここまで俺が運んできたんだけど、君、すっごい軽かったからしっかり食べなきゃ!!』



困惑している様子のその子の手をとり、少女と少年はその子を、挟むように椅子へ座った



『…食べたくない?』



なかなか手にとろうとしないその子へ既に箸をつけている少女が不安そうに見つめる



『……お腹すいてない』



ポツリと呟いた言葉は少年と少女にはしっかり聴こえていた



『…ねぇ、君名前は?
俺は── ──。今日で5歳なんだ!』



『…あ、私は── ──。
今は7歳で、ひなのお姉ちゃんだよ!!』



……どうして?



あだ名は聞こえるのに本名が聴こえない



その金髪で肩より下が赤髪の少女は誰?



茶髪の"ひよ"という少女は?



黒髪の"ひな"という少年は?



…俺は、誰?



混乱してきたとき、少年たちの声が遠くなり、一瞬視界が真っ暗になった。



次に明るくなったのは、重い瞼を開けた時だった