十数年も前のことを覚えている可能性のほうが遥かに低かった



…それでも、この人は。



「ええ、もちろん。
〇△病院で産まれた白くんと青くんでしょう?」



ふわりと微笑んで和やかにそう言った



正直信じられなかったけど、俺らには都合がよかった。



「はい。そうです。


…あの、失礼ですが、何故十数年も前の俺たちのことを覚えてくださっているんですか?
これまでにも何十、何百との子供を見ているでしょう??

もしかして、全て覚えているんですか?」



いくら都合がよかったとはいえ、聞かずにはいられなかった



たかが普通の子供のことを、いくら双子だからといって覚えているのはありえなさすぎる



「いいえ。まさか。
確かに今まで赤ちゃんはかなりの数を見てきたけれど、ちゃんと覚えてるのはあなたたちくらいよ」



「「え?」」



なんで俺たちだけ…



そんな思いが顔に出ていたんだろう。



七菜子さんはふふっと笑ってから、だって…と言葉を続けた



「あんなに珍しい赤ちゃんは初めてみたんだもの。
印象的で忘れられないわ」



…珍しい子供?



ますます意味がわからなくなってきた