神楽「ついでにいうけど、俺が藤井家で目を覚ました時は自分の名前さえ覚えてなかったから。」



伊織「あ、あぁ。お前を連れてきた奴がお前は"神楽"だって呼んでたから…」



へぇ、神楽は自分のも忘れていたのか



…でも、確かに神楽は末っ子で兄貴からも俺からも名前で呼ばれてた。



それに対して兄貴は俺からも神楽からも名前では呼ばれなかったから忘れたっていう可能性もあるな



元々、俺ら全員を名前で呼ぶ親もいないし、共通の友達とかもいなかったし。



紫月「…それで、2人のお兄さんの名前は?」



そう聞かれ、思わず神楽の方を向くと神楽も俺の方を向いていて、目が合った



どちらともなく頷くと、別に揃えるつもりはなかったが、流石血が繋がった兄弟、またハモった。



「「水無月 時雨。」」



神楽「時(とき)に雨(あめ)って書いて時雨。」



凪「俺の二つ年上で生きていれば大学1年だ。」



水無月 時雨(ミナヅキ シグレ)。



俺らにとっての親は兄貴だった



元々幼い頃に両親共に死んで、3人暮らしだったし、上にいるのは兄貴しかいなかった。



神楽「あぁ、そういえば。
夢でも見たんだけど、兄ちゃんはよく何処かに出掛けてたみたい」



ああ、それは俺も見た。



彼方「何処かってどこだよ?」



凪「何処かだろ。
俺らが学校行ってる間には必ず何処かに出掛けてたみたいだし」



神楽「火事の日も友達と行ってたから、その友達と遊びにでも行ってたんじゃないかなぁ」



そこら辺は俺も推測しかたてられない