【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく



「うわ!」


結の手に緑の光が灯ったと思った途端突風が起こり、二人の
間に一メートルほど距離ができた。


「あーもう!分かった自分でやるから!な!それで満足しろー!」


血を拭き取ろうとする露李からようやく逃げ出した結は顔をほんのり赤く染めて叫んだ。


「えー!?こんなとこで力使うなんて反則ですよ!レッドカードです!」


負けじと露李も叫ぶ。

「あーあ、初だよね結も」

文月が笑った。

疾風は諦めた様子で鞄からチョコレートを取り出して口に放り込んでいる。

食うか、と尋ねられた静も小さく笑って受け取った。

「馬鹿か…?馬鹿なのかこいつらは…」

理津に至っては遠い目をする始末。


「違います、右にも切り傷ありますから!」


「あ?ねーよ」


「あります!ほらっ!」


「うわっ!?お前の身体能力はどっから来るんだよ飛んでくんな!」


「結先輩に言われたくありません!」


「俺は良いんだよ!」


「何ですか唯我独尊!自己中!」


驚きの俊敏さで血を拭き取りに来た露李を避けた結はふと寂しそうに笑った。

俺の思ってんのとお前が思ってんのは、違うんだよ露李。
俺らは『半妖』だから良いんだよ。

しかし、そんなことを思っているなど露李が分かるはずもない。


「結、その辺にしときなよ。息切れてんじゃん」


肩を上下させて息をする露李を見かねた文月が結に呼びかける。


「露李ー、大丈夫か?結に犯されてねぇか?」


いつの間にか露李の背後に来ていた理津が露李に後ろから抱き着いて囁いた。


「理津ッ!?いつの間に!」


離れようともがくが理津の腕はガッチリと動かない。

しかしそれだけ固くなっているのに苦しくないのは理津の優しさだろうか。

そんなことに気づいてしまっては無下にできない。


「あれ?だって俺の力、幻術とかだしな。言ってなかったか?」


「無いけどっ…」


今はそうじゃなくて!
近すぎてくすぐったいんだってば!

露李は困ったように身じろぎする。