結界の箇所に到着すると、三人はすぐさま破れを修復した。
敵の姿は見えない。
疾風は鳥居に身体を預けてため息をついた。
「あいつ。置いて来てしまったな」
敵がいないなら、連れてきた方が良かった。
しかし居ないとも断言できない。
だから結界が強いあの辺りに置いてきたのだが、少し罪悪感が疼いた。
ああ言わなければ露李はついてきたに違いない。
わざわざ危ない所に連れて行く訳にはいかなかった。
だが自分の言葉、理津の言葉は間違いなく露李に己の非力さを思い知らせただろう。
理津も石段に座ったまま口を開かない。
「戻りましょう」
凛とした静の声が響いた。
「敵はいませんでした。なら、僕達がすることは露李先輩をお守りすることです」
そうだなと二人が笑うのを見て、静もふわりと微笑んだ。


