【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく



「…第一結界が破られた」


珍しく動揺した理津の声。

前を歩いていた三人が同時に振り返る。


「俺が主戦力で張った結界が破られた。早く行かねぇと」


真っ先に走り出した理津に続いて走り出す静と疾風。


「私も行く」


露李も三人を追いかけて走る。


「お前は足手まといだ。走って帰れ」


疾風が露李を睨んだ。露李の瞳が揺れる。


「ただ待ってるだけなんて嫌!!」


「姫さんよー」


理津の声が冷たい。

それだけではない、視線もだ。


「俺たち別に遊びに行くわけじゃねぇんだよ」


「そんなの分かってる!」


何が言いたいのかさっぱり分からなかった。

どうして理津がこんな態度をとるのかも。

どこで地雷を踏んだのかも。


「俺たちがこうやって走ってるのはお前のため。分かるか?仲間ごっこじゃねぇ。風花姫は余計なこと考えずに道具が道具らしく振る舞ってんのをそれらしく見物しとけよ」


何か鋭い刃物がグッサリと刺さったようだった。

それは露李の足を止めるのには十分な大きさで。


「私そんな風に思ったこと、」


声は届かない。



一人取り残された風花姫は、雷に撃たれたようにその場に立ち尽くしていた。