いつもの帰り道を歩く。
このところ寒くなってきて、山側の神社は冷える。
巫女装束の中に着るシャツも厚手のものに変えたばかりだ。
「あったかい」
露李は隣を静と疾風、後ろを理津に挟まれながら呟いた。
「寒いだろ」
寒いのが苦手なのか、疾風が顔をしかめながら言う。
「そういうことじゃないけど」
「は?」
本気で分からないというようにぽっかり口を開けて首を傾げた。
「おいおい間抜け面だな」
後ろから理津が茶化す。
「うるさいな。この寒さに温かいとか、露李の身体はどうなってるんだ?」
「…お湯が入ってる」
ちょっとしたジョークでも言ってみるつもりだったのだが、一瞬で白けたのが分かった。
「あはは」
不自然な笑い声を立てたのは静だ。
「静、これは笑った方が可哀想だ」
すかさず出された突っ込みが一瞬理解できない。
かわいそう、カワイソウ…
「ねぇ疾風、可哀想ってカタカナだと馬鹿っぽいね」
「気になるのはそこかよ!」
「侮れねぇな、この姫さんは。先が思いやられるぜ」
同学年二人からの攻撃で数秒も経たずに撃沈。
「あれだよね、マッハで爆弾放たれたよね」
「爆弾ですかっ?」
静の過剰反応に高一三人組の肩がいっせいにビクッと跳ねた。
「急にどうしたの静くん」
「どこから爆弾がっ?」
えええええー、とこっちが驚いてしまう。
「─この天然、確信犯だと思うか?」
「いや違ぇだろ」
「素、だよね」
一人テンションの合わない静は困ったように目を泳がせる。


