中等部の校舎を歩く高校生の男女、疾風と露李はあまりの目立ちように居心地が悪い思いをしていた。
背が高い疾風と、珍しい神秘的な輝きを放つ栗色の髪の露李。
中学生は成長期真っ只中といえど長身の疾風には勝てず、そして女子も露李の持つ雰囲気には届かない幼さだった。
対して教師たちは高等部の生徒が兄弟を探すことも多いので、そう珍しくないためか、素通りしている。
そして何より。
「カップルだぁー!」
そこかしこから囁かれる──もとい、叫ばれる冷やかしの声。
「カップルらしいよ」
「何あっさり認めてんだよ」
露李の無反応に疾風は少し不満げに答えた。
「だって事実違うじゃない」
「前から思ってたけどお前って神経太いよな」
「貶してる?」
むぅっと唇を尖らせた
。
何よ、神経太いよなって。どうせ華奢じゃないし。
「いや?褒めてる」
「それが!?」
うわ気にして損した。
そう言うはずが、物凄い声が露李の声を飲み込んだ。


