「荷物は俺が持ってくよ。話は後で聞くから、風雅たちと中に入ってな」
さきほどの表情が気になって露李が水無月を見ていると、にっこり笑ってそう言われる。
「心配してくれたのに、ごめんなさい。氷紀」
くしゃっと頭を撫でられる。
「こっちこそ、帰ってすぐにごめん。…でもね、露李。俺はいつもお前の味方だからね」
「ありがとう」
笑顔を返すと、行きましょう、と海松が手をとって笑ってくれる。
「うん!」
守護者たちも各々の荷物を持ち、ついてくる。
しかし結だけがその場を動かなかった。
「結?行くよ?」
「や、俺まだやることあるから先行っといてくれー」
文月は声をかけたが、そう?と言って屋敷へ向かった。
瀧谷と水無月、結がそこに残った。
もう一人の運転手、常夜は青ざめた無表情でそこに立っていた。
「露李を苦しませ続けたあの家を、変えてほしい」
ぽつりと水無月が呟いた。
「勿論でございます」
瀧谷の返事を聞くなり、水無月が宙に手をかざした。
竜胆の花が舞った。
「守りだ。お前に何かあれば露李が悲しむ」
それだけ言って、水無月は瀧谷に背を向けた。


