「露李様!!ご無事でしたか!?」
「大丈夫だよー!」
飛びついてきた海松に抱擁を返しながら笑う。
海松にしては珍しく大胆な行動だ。
「おかえり露李、大丈夫?」
「兄様、ただいま。大丈夫です」
笑い返した露李に、そう、と頷いてから水無月は車を下りてドア前に立っていた瀧谷に目をやった。
瀧谷は静かな面持ちで水無月に歩み寄り、深く深く頭を下げた。
「──申し訳ございません」
「瀧谷!」
思わず声に出したが、瀧谷は顔を上げない。
「露李様を、危険な目に遭わせてしまいました」
水無月は眉間に皺を寄せた。
「どういう意味だ」
「待って兄様!瀧谷は悪くないの、悪い人は他にいるの!」
「……他?」
間を置いて問う水無月に一生懸命頷く。
「克雪なの。克雪が何かの術で皆を操ってたの!」
「だから悪くない、って?」
冷ややかな水無月の笑み。
「良い?露李。どれだけ悪気がなかろうと、したことは変わらない。こいつだけじゃないよ、俺だって」
変わらないんだ。
真っ直ぐに目を見つめられ、露李はぐっと黙りこんだ。
「──でも、変わらなくても。やり直すことはできる。私は信じてる」
だって、私だって1度、皆を殺した。
罪を否定したいわけじゃない。
「一番、兄様の心が救われてほしいから」
声が震えた。
水無月は驚いたような顔をしたが、すぐにその赤い瞳が伏せられる。
「…俺だって、露李の幸せをいつも」
そう呟き、すっと瀧谷に刀を突きつけた。
「命拾いしたな。…妹のおかげで」
どこか諦めたような声色だった。


