【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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 徐々に見えてきた落ち着く風景に、露李はふっと笑みを浮かべた。

車内では結と他愛もない話をしながら楽しく過ごし、目に暗い色の無くなった瀧谷とこれまでのことを聞いたりしていた。


「もうすぐ着きますよ、露李様。神影家に戻りましたら公式な文書を作成してお送りしますので、よろしくお願い致します」

「分かったわ」


そう答えて──迷う。

術をかけられていた瀧谷に、行きは酷いことを行ってしまった。

昔から桜木と共にお付きの者として仕えてくれていたが、関係が歪んでしまってからは高飛車に振る舞うしかなかった。

それが唯一、権力がものを言う家で自分を守る方法だったから、

──でも。


「ごめんね、瀧谷」

「?何がでしょう」

「私、行きのときもだけどこれまで酷いことを…偉そうにしたりして」


バックミラー越しに瀧谷が笑うのが見えた。

だが彼はすぐに表情を曇らせる。


「気にしないで下さい。私こそ、申し訳ございませんでした。とんだご無礼を…意識はあったのですが、どうにも…何でしょう。本当に」


困った顔で口ごもる瀧谷の顔を、結がじっと見ていた。


「意識はあったが、感情がコントロールできなかったってことかー?」


軽い口調だが、目は真っ直ぐだった。


「そう…ですね。桜木などは元より冷静な性格ですが、直情的になって」

「それは…いつ頃からなの?」

「露李様の教育を克雪様が一任された頃…ですかね」


一段と露李の顔が難しくなり、眉間にシワが寄る。


「顔やべーぞ露李ー」

「うるさいです!…ねえ、瀧谷。神影家の当主の権限を私に移行してくれる?」

「勿論です。そのための文書でもあります。執行部員を指示して頂くことになりますね」


執行部というのは、一族で企業を運営していくために作った組織である。


「分かった。それじゃあ、当主としてのお願いなんだけれど」

「何でしょう?」

「克雪が来たら、何も情報を渡さないで。…でも、命が危ないようなことがあったら自分の命を優先して」

「…相変わらず貴女は」


瀧谷は何だか泣きだしそうな顔で笑い、緩やかに車を止めた。


「もうここが露李様のお家なのですね」
 
「…うん」


にっこり笑って窓の外に目をやる。

水無月と海松が血相を変えて走ってくるのが見えると、結が呆れたようにため息をついた。


「早く行ってやれよ、露李」

「はい!またね、瀧谷」

「ありがとうございました、露李様」


ドアを開けて、二人に向かって走る。

帰ってきた、と思った。