「───消え、た……?」
疾風は目の前の敵が跡形もなく消えているのを、呆然と眺めた。
他の面々も状況を理解できずにいたが、すぐに露李を窺った。
すぐに傍に駆けつける。
「静、どうし──」
疾風が静に訊ねかけ、その顔を見て絶句した。
「あの、あの人は、消して、消してしまいました」
「落ち着け。怖かったな、とりあえず静が落ち着かねぇと」
理津が背中を撫でてやり、文月と結に目配せした。
文月は足元に落ちている砂を掬い上げ、またサラサラと落とした。
「これと同じものがあそこに落ちてた。─砂に、なってる」
ひっと静が息を呑む。
「──露李じゃねーな?」
結が鋭い眼差しで彼女に呼びかけた。
ゆっくりと“彼女”は振り返り、笑う。
「はい。──どうして、そんな顔をするのですか?」
「露李は死なせることを望んでいなかった。あくまで浄化だ」
結と目を合わせた彼女は首を傾げた。
「それでは本体に負担がかかりすぎます。それに、非効率です」
本気で不思議そうな彼女に、結は気が抜けたように笑った。
「そっか。露李に足りないものは、お前なんだな」
「どういう意味ですか?」
「自分を大切に思うこと、効率の良さ。あいつにはどっちもねーからなー」
「…どういうことですか」
「いーや。ところで、戻らねーのか?」
単刀直入に聞かれ、彼女は目を閉じて首を傾げ、また不可解そうな目をした。
「本体がそれを、望んでいません。酷く怯えています」
その言葉に、結を除く守護者たちは一様に眉間にシワを寄せた。
「どうしてだ」
「どうする、結」
疾風と文月が口を開き、理津と静はどこか悔しそうに目をそらした。
──また、離れていってしまうのか。
不満げな様子の四人に彼女が戸惑うのを見ながら結はそっと微笑み、その頭を自分の方に引き寄せた。
「なに、をっ……」
「大丈夫だ、露李。大丈夫だからなー。──安心して、戻って来い」
ふわりと光が舞った。


