数歩前で速度を緩め、次にゆっくりと歩きだす。
「どういうおつもりですか」
怒りを噛み殺し、努めて冷静に薫に訊ねた。
しかし薫は表情を小揺るぎもさせず口を開いた。
「どうもこうもありません。致し方のないことです」
「何について致し方ない、とおっしゃるのですか?どんな崇高な目的か存じ上げませんが、生き物を殺して醜い怪物を造ることが正しいことと言えますか」
薫が不気味に光る目で露李を見据えた。
「正しいことです。過程はどうあれ、目的は正しいことです。ですから結果正しいことをしたのです」
「過程が正しくなければ、その結果が正しくなることは有り得ません」
その目を知っている。
理性を失った者の目だ。
「どうしたっていうの…」
後ろに従えた他の面々を見ても、同じような目をしている。
しかし薫とは違う種類のように見えた。
薫の妙な光を宿した者ではなく、澱んでいるような目の色だ。
「目的とは何ですか」
「この神影家の繁栄、ただそれだけです。それに私は貴女の正体も知っている」
きらりと何かが光った。


