風の音が耳元で鋭く響く。
露李は“それ”の攻撃を避けながら顔をしかめた。
なぜ犬や猫が無惨に殺され解体され、こんな様になっているのか。
克雪や薫に問い質さなければならない。
間違ってもそれは、神に仕える者の所業ではない。
例えそれが紛い物の神であっても。
大きくなった猫の手が振り下ろされる。
もはやそれは可愛らしくも何ともなく、ただ危ないだけの凶器だった。
露李の身体ほどもある爪が土を抉る。
なかなか本体に近づけない。
刀を持っている以上、近づかないことには攻撃できない。
今、攻撃を与えているのは文月と理津だ。
結は風で動きを止めているが、疾風は今のところ近づけそうにもない。
静は桜木と瀧谷の守りと術の強化に回っている。
「この化けもんの核を攻撃するまで傷つけるな!」
結が叫び、皆返事をするが傷つけないことには何も始まらない。
「犬猫に罪はねー、核を見つけてそこを総攻撃だ!!」
「分かってるよっ、その核とやらを見つけられたら良いけどね!」
「おい結!炙るのもダメなのかよ!?」
「痛いだろーが!!」
「気持ちは分かりますけどっ、埒が明かないっすよ!!」
守護者たちは動き回りながらも会話を続ける。
「皆っ、これに隙を作ってください!私に考えが───」
言いかけて、言葉を失う。
一度怪物から身体を引いて、それの向こうにある光景に視線を合わせた。
「このっ……」
怒りが渦巻く。
露李は考える間もなく駆け出した。
「おいっ、露李!!どこ行くつもりだ!?」
「ちょっと後!!頼みます!!」
──神影一族の元へ。


