木立から気味の悪い生き物──生き物と呼んで良いのかどうか──が、くねくねも四肢を動かしながら出てきた。
嫌悪感を目に見える形にしたら、こうなるだろうな、と納得のできる姿だった。
青い空に不釣り合いな、しかし不釣り合いだからこそ寒気がするような。
犬猫の死体を集め継ぎ接ぎして、それぞれの目を全体につけた怪物は、ぎょろりと全ての目で露李を見据えた。
息を飲む。
背中に冷や汗が伝うのを感じた。
「露李、大丈夫かー?」
明るい結の声が静けさを破る。
「大丈夫です」
そう答えたが、露李の声は震えて掠れていた。
──大丈夫、私は戦える力を持っているのだから。
心の中で唱えて、目の前のものを見つめる。
この世のものではない。
今まで露李が斬ってきたものは、本心では斬りたくなかったものばかりだ。
だから──できる。
躊躇いなく戦える。
そう思うのに、足が震えて止まらない。
どうして。どうして戦えない。
自分の心へ疑問をぶつけたとき、小さな声が耳に入った。
「……露李様」
震えた声。か弱い声。
振り返ると、桜木が露李を見つめていた。
化け物と自分を詰ったこともある彼女が、見つめていた。
「──ごめんなさい、桜木。やっぱり私は甘かった」
唇を噛み締める。
「大丈夫?露李ちゃん」
文月の問いかけに頷く。
「強く、なりたい」
その言葉を皆に聞かせるつもりはなかったのだが、守護者たちは大きく頷いた。
「行くぞー!」
結の掛け声と共に、地を蹴った。


