何か禍々しいものがやって来る。
それが神影によって造られたのなら、決して許してはならないものだ。
「──来るぞ!」
結が叫び、桜木と瀧谷の前に全員が立ちはだかる。
盾のような陣形をとると桜木が声をあげた。
「露李様!いけません、貴女が傷つくのは…!」
そのまま前に乗り出そうとする彼女を、一番近くにいた静がそっと止める。
「守護者様!姫様を、露李様を止めてください!!」
「いいえ、それは出来ません」
「どうして──」
「僕たちは約束したんです。姫様を置いて行かないこと、一緒に戦うことを」
戦う、という言葉を聞いた瞬間に桜木が顔を歪める。
「露李様は強い方です!ですが戦闘なんて出来るようなお身体ではありません!」
「いいえ、大丈夫です。それに」
静は、ちらりと振り返った露李と笑みを交わした。
「止めようと思っても無駄です。露李先輩は絶対、立ち向かっていきますから」
あまりのことに力が抜けた桜木を瀧谷が抱きとめ、静が彼等に手をかざした。
「【盾よ。かの者たちに守りを】」
萌黄の光の粉がふわりと舞い、二人を包む。
「これで物理的な攻撃は避けられます。…でも、必要ないかもしれませんね」
静が微笑む。
その視線の先には、穏やかな笑みを浮かべた露李がいた。


