【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

**

 結、文月、静の三人は風呂から出て部屋の前に戻り、結が障子に手をかけた。

が、開けない。


「どしたの、結」

「いや、何か音がしねーんだけど…」


表情を曇らせ、三人で目配せをしてから勢いよく横に引いた。

しかし中の状況は想定したどの光景とも違っていた。


「……コイツら~~」


理津と疾風が真ん中に露李を挟んで、三人ともすやすやと眠っていた。

気持ち良さそうな顔が逆に腹立たしい。

しかもか。


「これ、結界だね。周到だなぁ」

「感心してる場合か。早く入んねーと凍え死ぬぞ」


薄く紫色の膜が張ってあるのを指で文月がつつき、微笑んだ。


「静と俺で破る。文月は下がってろよー」


ハイハイ、と文月が離れるのを確認してから、結は腕に翡翠を纏った。

同様に静も困り笑顔で萌黄の鎖を身に纏う。


「さーん、にー、いち!」

「破!」


溶けるように膜が無くなる。


「誰だ!?」


それと同時に弾かれたように理津と疾風が目覚め、臨戦体勢をとった。


「結様だ、バーカ!」

「てめぇ、驚かせんなよ!」


理津が吠えたところで、文月がズイと前に出る。


「驚いたのは俺たちだよ、理津。それに疾風」


完璧にコントロールされた声が恐ろしい。

理津が目を見開いて口をつぐんだ。

疾風は黙って俯く。


「静、早く入って?」


「はいっ」


──どうしようっ。


素早く障子を閉めた静は恐る恐る文月を見上げる。


──寒いから入りたかったのに今はすごく出て行きたいです!


「そうだねぇ二人とも。とりあえず咄嗟に戦える体勢になったことは褒めてあげるよ」

「あ、ありがとうございます…」

「でも閉め出すなんて酷いなぁ」

「すみませんでしたっ!」


うんうん、と文月が黒い笑顔を引っ込める。


「つーか露李、よく寝てんなー。布団とかどうしたら良いんだー?」


露李の寝顔を見つつ何だか嬉しそうに笑いながら、結は首を傾げた。

ここぞとばかりに静が挙手する。


「あ、あの。僕、桜木さん探して聞いてきます」

「おー、サンキュ。たぶんその辺にいてくれてるだろうから頼んだ」


結の声を背後に聞きながら、静は再び部屋を出た。