「どうだ」
「大丈夫です。それに毒の耐性はついてます」
結に聞かれそう答えると、眉をひそめられる。
「…あの、何か変なこと言いました?」
「昼はそんなこと言わずに食ってたよな。なー、お前に渡す前に静が祓ってたのは気がついてたか?」
「え、いえ…」
言ってからおかしいと気がつく。
何かしらの術がかけられたのなら気がつくはすだ。
「静の祓いを見たのが初めてみたいな反応はおかしいとは思ってたけど、おかしいな。お前が気がつかないはずがねーし」
──何が起こってるの?
露李の背筋がひやりと冷たくなる。
神影で油断は禁物だと分かっていたが、こんな風に異常が表れるとは思わなかった。
「お前ら、聞いてたな。露李が何かしらに惑わされている。気を辿れ」
「分かった。俺と疾風の力は物理寄りだから、静と理津。お前たちが露李ちゃんの周りを囲って」
「よっしゃ文月、指揮は頼んだ」
「丸投げなの?困った奴だね」
文月は笑いつつ真剣な表情で前を向いた。
「ゆ、結先輩、私」
「大丈夫だ。けど、厄介だな……なー露李、毒のことは前から知ってたのか?」
毒の耐性は前からあった。
それはどうしてだ。
「それは──」
──『ごめんね、ごめんね露李、ごめんね』
『苦しいよね、ごめんね、でもきっとこれは貴女の役に立つから、ごめんね、ごめんなさい』
『生きて──』
記憶だった。
「私──私はここにいるとき、日常的に、毒を」
「……飲んでたのか」
結が露李の言葉の先を引き取り、呟いた。
「それを何で忘れてた?どうして今思い出した──?」
その呟きを聞きながら、ふと鋭い視線を感じた。
「──桜木」
こちらを見つめる、桜木の瞳だった。


