広間には既に大勢が集まっていた。
夕食をとるだけのために集められたのかと思うと苦笑せずにいられないが、およそ予測の範囲内でもある。
到着した頃の歓迎会のように部屋に通されると、やはりまた雛壇のような場所に露李たちの御膳が用意されていた。
「ご飯くらいゆっくり食べたいなぁ」
「昼は楽だったけどな。ま、メインはこれだろうな」
理津が面倒そうに答え、疾風も無言で頷く。
見世物ではないのだから穏やかに食べたい。
「一人も寂しいですけど、じろじろ見られる食事も嫌ですね…」
静が同意してくれる。
六人が席につくと、桜木が巨大な盃を運んできた。
まさか、お酒ではないだろうけど、と少し怪訝な顔をする。
「祝いの清水でございます」
「お水なの?」
「はい。私たち神影の巫女が露李様のことを想いながら、祈祷を捧げた天然水でございます」
──逆にそれは怖いんだけど!
心の中で叫びながら盃を手に取る。
「お待ちください、姫様」
珍しく発言したのは静だ。
「【主を脅かすもの、現れよ。我が名のもとに馳せ参じ、その牙を抜いて差し出すよう】」
静の詠唱と共に萌黄の気が水を照らした。
明るく水が光り、やがて消える。
「大丈夫なようです」
静の言葉に頷き、盃を口元に運ぶ。
するりと滑らかな水が唇を濡らし、喉を通っていく。


