守護者たちが見回りに行く必要も無いため、全員揃って話したり、各々が暇を潰しているうちに夕方になった。
だんだんと日が長くなり、もうすぐ春が来るのだと実感する。
「これが終わったら新学期ですね、露李先輩」
皆が広い部屋で思い思いに過ごしているのを見ていると、静が話しかけてきた。
「そうだねぇ。勉強、兄様と海松ちゃんに見てもらってたけど大丈夫かな」
「大丈夫ですよ、露李先輩ほとんど分かってらっしゃったじゃないですか」
そうかなあ、と言いながら露李は苦笑した。
嫌だというわけではないけれど、静は少し堅すぎる気がする。
「静くん、もうちょっと砕けて話しても良いんだよ。しんどくない?」
「いえ、大丈夫です。これも癖というか、家ではそのように躾られて来ましたので」
ああ、と納得しつつ思い出したのは静の母である葵。
静の視線は疾風を向いていた。
持ってきた愛読書を読むのを理津に邪魔されて、いつもの仏頂面がさらに険しくなっている。
「家に帰ったら、母とちゃんと話すつもりです」
何を言わんとしているかは聞くまでもなかった。
疾風に対する葵の態度について話すつもりなのだろう。
「……静くんのせいじゃないんだからね」
「疾風先輩も、そう言ってくれました。でも僕は母を恨むつもりはありませんが、あんな風に仲間を見るあの人を許せないんです」
そうだろうな、と何も言わずに静の視線を追った。
手放しで許せるなら、それは仲間ではない。
「僕はあの家を変えたい。そう思ってます」
「そうだね。ちゃんと帰ろう。私も──私も、いつか。この家を変えたい」
それがどのくらい先かは分からないけれど。
確かな決心だった。


