「露李。──露李!」
結の声で自分が呼ばれていたのだと気がついた。
はっと顔を上げると、守護者たちが心配そうにこちらを見ていた。
「あ、あの、ごめんなさい」
全てが申し訳なくて混乱して、そんなことを口走ってしまう。
彼らに何を言えば良いのか分からなかった。
暗に、薫は守護者も道具だと言っていた。
口には出さなかったがそれを分からないほど皆も子供ではないだろう。
守護者たちはやっと、自分達は道具ではないという露李の言葉に頷いてくれるようになったのに。
「なんつー顔してんだよ、お前は」
結が目の前にしゃがんで、ぐしゃぐしゃと露李の頭を撫でる。
いつもの笑顔だ。
結はどんなときも笑顔でいてくれる。
「ったく、お前の考えてることはすぐに分かるなー。だーいじょうぶだ、気にすんな!」
「だ、だってあれはお祖母様は…!」
「露李ちゃん。確かに驚きはしたけど、悲しんだりはしてないよ」
文月も微笑んでくれる。
疾風と理津は呆れ顔。
静はにっこり笑っている。
「…俺たちの姫様はお前だ、露李。他の誰かにどう思われていようと、もう関係ない」
疾風が仏頂面になってそう言い、理津が吹き出す。
腕組みをして隣に立つ疾風の頬をふにふにと引っ張りながら、理津はにやっと笑った。
「ハヤちゃんにしては良いこと言ってんじゃねぇのー?しっかしこいつの顔だけは素直じゃねぇなぁ」
「二人とも、また喧嘩はやめてくださいよー」
疾風が段々むすっとしてきたのを見て慌てる静。
「大丈夫ですよ、露李先輩。貴女さえ僕たちのことを分かってくれていたらそれで良いんです」
だから気にしないでください、と美少年スマイルで言われ、露李は曖昧に笑みを浮かべた。
「…ごめんなさい」
「だーかーら!」
結がそう言いかけたが、露李の顔を見て口を閉ざした。
そして、にかっと笑う。
「私がメソメソしてる場合じゃありませんでした!むかつく!あんな言い方ないですよね!」
「おーそうだぞ!お前はそうやっていつも怒っとけ!」
「うん、露李ちゃんはそれが良いよ」
先輩二人から頭にぽんと手を乗せられ頷きかけたが。
「……そこ、笑っとけじゃないんですか?」
怪訝な顔で中断して訊ねると、
「えっ。露李ちゃん、怒ってるときの方が多いじゃない」
と、良い笑顔で言われてしまう。
「どういうことですかそれっ、私そんな怒ってません!」
「それだそれー。良いぞー」
「結先輩までっ。失礼すぎます!ねぇ疾風、理津!」
「?どこか違っていたか?」
「おう、間違いが見当たらねぇ」
こいつらっ、と一瞬つまり、最後の望みをかけて静を振り向く。
ひっ、と聞こえたのは気のせいか。
「静くんっ」
「はいっ、先輩は笑顔ばっかりですっ」
「ほーら!聞きました!?」
「えー言わせてるじゃない。ねぇ結?」
「ほんっと失礼ですね!ねー静くん?」
「ああ、はいっ、ソウデスネー」
「ほーら!」
後ろで疾風が、棒読みだが、と突っ込んでいるのは聞かないことにした。


