露李、疾風、理津が並んで先頭を行くのを見ながら、文月は黙ったままだった。


──無事で良かった。
 
ただただ、今はそれだけだった。

決めたら絶対に意志を変えない、強情な俺の姫。

危ないことをしないで欲しい、そう思うのは。

彼女への、冒涜だろうか──?


「なー文月ー」


ていうか俺ってこんな思い詰める感じだったっけ?

これって結構恥ずかしくない?

いやいや、結とかいっつもこんなんだしっ。

でもアイツこんなんだけど真面目だからね。

うわ絶対言いたくないっ。

違うこと考えよ。

帰ったら何しようかな。

ひとまず露李ちゃんが帰るなら、一緒に暮らすのも終わりだし。

一回家に帰らなきゃな。

送り迎えも担当決めなきゃいけないし。

あ、春になったら力が使いやすくなるから嬉しいな。

季節によって使えるものが限定されるって不便だよねえ。


「文月ーーーっ!!」


「うわっ、何!?」


「何じゃねーよ!周り見ろ!」


「大地、貴様…!」


結と水無月が何か喚いていた。