*********************
蔵を出た途端、そこかしこから安堵の溜め息が聞こえてきた。
「うわー疲れたぁー!」
その溜め息に気が抜けて思わず叫ぶ。
水無月が背後でくくっと笑っている。
露李が砂で汚れるのにも頓着せずにバッタリ地面に寝転ぶ。
木や氷が浅葱色に包まれたかと思うと、そのまま弾けて光の粒になり、霧散した。
薄く空に張られていた紫と萌黄が、ベールのように溶けてなくなる。
疾風と文月が駆け寄ってきた。
結はすたっと近くに着地する。
「お疲れ様、無事で良かったよ」
文月が上から見下ろし、にっこりと笑う。
ああ、相変わらず綺麗な顔だな、と思いながら伸びをした。
その弾みで手に持っていたものがカランと転がる。
「…何だ?ってお前これ花霞じゃないか。何、持ってきてんだよ」
どうやら傍で片膝をついていた疾風の足に当たったようだ。
「もう触って大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫。これ浄化したら単なる弓だもん」
ほら、と持ち上げると疾風は訝しげながらも手に取った。
特に何かが起こることもなく、その表情が安心したように緩んだ。
横に腰を下ろした水無月がぽんぽんと頭を撫でて労ってくれる。
が、その顔にも疲労が十二分に表れていた。
「兄様ごめんね、ありがとう」
水無月は少し驚いた顔をしながら、頷く。
「これで一件落着、だな!」
結が後光がさしそうな笑顔で手を差しのべてくれた。
はい、と言いながら立ち上がる。
「一件、かな?」
「どこからどこまでが一件なのか、分からないが。本当に良かった」
文月がからかい、疾風が露李に滅多に見せない笑みをくれた。
蔵を出た途端、そこかしこから安堵の溜め息が聞こえてきた。
「うわー疲れたぁー!」
その溜め息に気が抜けて思わず叫ぶ。
水無月が背後でくくっと笑っている。
露李が砂で汚れるのにも頓着せずにバッタリ地面に寝転ぶ。
木や氷が浅葱色に包まれたかと思うと、そのまま弾けて光の粒になり、霧散した。
薄く空に張られていた紫と萌黄が、ベールのように溶けてなくなる。
疾風と文月が駆け寄ってきた。
結はすたっと近くに着地する。
「お疲れ様、無事で良かったよ」
文月が上から見下ろし、にっこりと笑う。
ああ、相変わらず綺麗な顔だな、と思いながら伸びをした。
その弾みで手に持っていたものがカランと転がる。
「…何だ?ってお前これ花霞じゃないか。何、持ってきてんだよ」
どうやら傍で片膝をついていた疾風の足に当たったようだ。
「もう触って大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫。これ浄化したら単なる弓だもん」
ほら、と持ち上げると疾風は訝しげながらも手に取った。
特に何かが起こることもなく、その表情が安心したように緩んだ。
横に腰を下ろした水無月がぽんぽんと頭を撫でて労ってくれる。
が、その顔にも疲労が十二分に表れていた。
「兄様ごめんね、ありがとう」
水無月は少し驚いた顔をしながら、頷く。
「これで一件落着、だな!」
結が後光がさしそうな笑顔で手を差しのべてくれた。
はい、と言いながら立ち上がる。
「一件、かな?」
「どこからどこまでが一件なのか、分からないが。本当に良かった」
文月がからかい、疾風が露李に滅多に見せない笑みをくれた。