「…分かりました。絶対に無茶はしないと約束して下さるなら」
むすっとしてるのも可愛い、などと感動しながらありがとうと言う。
その様子を見ていた結がにかっと笑った。
「だってよ、文月!」
どうやら皆の反応を窺っていたようだが、文月は不安げなままだ。
「いや、でも。露李ちゃんを危険に晒すことになるよ、あれだけの邪気を取り込んだら」
「露李が大丈夫だって言ってんだ。なら大丈夫だろ」
「いや、そういう問題じゃないでしょ。露李ちゃんに何かあったら本当に──」
文月は不服そうに言っていたが、途中で静止してから溜め息をついた。
「分かったよ。そうだね、俺も露李ちゃんを信じる。…っていうか、もうこれ俺たちの心配の問題だもんね。分かったよ、分かった」
危険な目に遭わせたくないのは山々だが、文月は諦めたようだった。
「やるのは露李ちゃんだから、もう何も言わないよ。…でも、絶対に何かあったら俺たちを頼って。頼むから」
頼むから、と言わせてしまったことに露李はまた胸が痛んだ。
前回の行動が、彼等にここまで言わせるほど傷つけたのだと思い知った。
せめて返事だけはしっかりして聞こえるよう、気合いをいれる。
「よろしく、お願いします」
「よっしゃ!」
結が立ち上がる。
露李も満面の笑みで立ち上がった。


