「私は、風花姫の役目を忘れたわけじゃない。皆もそうでしょう?」
酷いことを言っているな、と思った。
それでも笑みは絶やさない。
一人の友人として自分を心配してくれた彼等に、今までの呪縛を突き返したのだ。
露李は黙って五人の様子を窺った。
「それは、風花姫としての決定か」
疾風が溜め息混じりに尋ねた。
うん、と笑いながら答える。
「…なら、仕方ないな」
「疾風てめぇ…!」
「だって、露李だぞ。理津。俺が見てきた中で一番頑固な女だ」
反論しかけた理津が黙った。
一拍置いて、ニヤリと笑う。
「そうだったなぁ。一度言い出したらきかねぇ奴だったな」
同級生三人は笑い合った後に、残る三人に視線を送った。


