「強い意志があれば大丈夫だと思うの」
暴走を気にしているのだろうか。
露李は七人の目をじっと見つめた。
海松が心配そうに眉を下げて微笑み返してくれる。
「露李様」
「何?海松ちゃん」
おずおずと口を開いた海松に優しい口調を心がけて応えた。
心優しい女友達がいつも心配してくれているのは知っている。
戦いの前線に出られないぶん、海松はいつも体調をはじめ様々な面で気を遣ってくれていた。
だから、できるだけ彼女には誠実でいたかったのだ。
「私は露李様が子供になったとき、一番傍で貴女を見ていました」
そこで言葉を切って俯いたが、また辛そうに顔を上げる。
「露李様は──露李様は、ご自分のお力を本当に恐れていらっしゃいました」
「……それは」
その通りだった。
眠っている時以外はずっと自分が怖かった。
けれど、目がきくとはいえ夜の闇は心地よいものでもなかった。
「他の…他の方法をお試しになられてはいかがですか?どうして──」
懇願するような声色。
露李は目を伏せて、少し痛んだ胸を押さえた。
「沢山の命を奪ってきた花霞を、ただ消すだけじゃダメだって私は思ってる。私は風花姫として、この代の風花姫として。邪気も全部私の一部にすることで、今までの責任を負うつもりでいるの」
「でも露李先輩が責任を負うなんて筋が違います!」
静が弾かれたように声を荒らげた。
「私は、当代の“風花姫”として」
守護者たちがハッと露李を見た。
驚いたような、悲しいような表情だった。
反対に、海松と水無月が諦めたように下を向いた。


