【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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 全員で食事をとる、最初で最後の朝だ。

露李は広間に戻って皆を見渡した。


「おはようございます、皆さん」


大きく挨拶をすると、各々から返事が返ってくる。

後ろから欠伸をしながら理津が入ってきて、いつもの席に座った。


「おはようございます、露李様」


「おはよう露李」


「姫様、おはようございます」


厨房に近い入り口から海松と美喜、宵菊が朝食を運んできた。


「あぁー、私も手伝いたかった…」


「露李は起こし係でしょ。それにあんた、味は美味しいのに必ず一品は失敗するじゃない」


「そうだけど!絶対楽しそうじゃないそのメンバー」


「うん、楽しかったわよ。ねぇ海松」


「えっと…はい」


「姫様、そんなお顔をなさらないで。ほら、一緒にお料理する機会はまだまだありますし」


それさ本当かどうか怪しい、と露李が宵菊を見ると、すぐに目を逸らされる。

がっくりと肩を落とすと、結が笑ってその肩を叩いて通り過ぎて行った。


「で、でも!朱音さんも他のことをなさっていたようですし私だけじゃ…!」


朱音を振り返ると、秋雨の隣に座った彼女は顔を赤らめて下を向いた。

その反応に露李が怪訝な表情になると、秋雨は小さく笑った。


「朱音も手伝おうと申し出たのだが…まあ。こいつは根っからの姫なので、その…無理があったわけだ。爆発音がした時点で引き取ってきた」


「時雨!…お恥ずかしいことですわ」


悲しそうに俯く朱音。

露李はこれ以上何も言うまいと唇を引き結び、大人しく水無月の横に座った。


「露李ー、気にしなくて良いんだよ。お前は可愛いから」


相変わらずの甘々に守護者たちが引いた顔をする。


「お前はほんっと、二重人格だなー!」


「その口を早急に閉じろ。不愉快だ」


「結は今のそれを指摘したんだけどね…」


呆れた結と文月の言葉に耳を傾けず、水無月は嬉しそうに露李の頭を撫でた。