【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

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 布団にくるまりながらも、曙光が入ってくるのを感じた。

露李は清々しい気持ちで目を覚ました。

寒いので布団が名残惜しいことこの上なかったが、それよりも美喜や海松と話したかった。

当然のことながら美喜は去ってしまうのだろう、と露李は寂しく思っていたのだ。


身体を起こして両脇を見ると、二人が気持ち良さそうにまだ寝息を立てていた。

くすりと笑って海松の口に入ってしまっている髪を抜いてやり、美喜の布団をかけ直す。


海松はいつも片側にゆるく髪をまとめて結んでいる。

働くときに邪魔だと言っていたが、下ろしているのも可愛らしい。

寝ているときまで行儀の良い海松は美喜と正反対である。


おっとりした美少女の海松と、目元のきつい派手な美人という顔立ちの美喜。

美喜に関しては有明の顔だが。


寝相の悪い美喜はむにゃむにゃと寝言を言ってから足を布団の外に投げ出し、寒かったのかまた縮こまる。

その様子に思わず笑ってしまった。

 
「んん…露李様?」


反対側から眠そうな海松の声が聞こえた。


「ああ、ごめん。起こしちゃった?」


「いえ、もう起きる時間ですし…」


そう言って身体を起こす。

目を擦り──しゃっきりと目を覚ましたようだ。

いつもの完璧な笑顔が露李に向けられる。


「おはようございます、露李様。よく眠られましたか?」

「えっ、ああ、うん。寝たよ。……すごいね?」


あまりの寝起きの良さに驚いてしまう。

一方、海松は何故驚いた顔をされたのか分からないようで首をかしげている。


「寝起き良すぎ。私そんな起きられないよ」


海松は不思議そうな顔で曖昧に笑った。

笑い返そうとした途端、強烈な痛みが露李の頭を襲った。


「痛っ!?…ちょっと美喜、寝相悪すぎでしょ!もう!」

「大丈夫ですか露李さま」


「大丈夫だよ、心配しないで。美喜め」


きっ、と美喜を睨んでいると、さすがに目が覚めたらしい美喜が薄く目を開ける。


「何ようるさいわねー…」


「ちょっと、誰のせいだと」


ぱしんと美喜を叩くと、もっそりと起き出してきた。


「痛いわね、誰よ……露李じゃないの」


「私だけど。ねえ美喜、寝相悪すぎ」


「はあ?そんなわけないでしょ。寝惚けてんの?」


ふてぶてしい美喜に怒りどころか笑いが込み上げてくる。

海松も堪えきれず笑いだす。


「何よ、何を笑ってんのよ。…………ちょっと、あんたたちその笑うのやめなさいってば」


訳が分からずむくれる美喜だった。