*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
「上がりだ」
ババ抜きに熱中していた朱雀は、最後のカードを場に投げ捨てた。
「僕も上がりです」
知恩もふっと息をつく。
「もう一回だ、もう一回やれくそてめぇ」
水鳥が盛大に舌打ちをしてジョーカーを放った。
「おい露李ー、もう一回やんぞ」
「もう一回戦やると言った覚えはない」
「僕もです。ここは露李先輩に決めていただきましょうよ」
「そうだな。あいつは何やってんだ?」
朱雀が縁側に目をやる。
「お腹一杯で疲れたから、と夕涼みに」
そう知恩が答えたときだった。
ものすごい突風が朱雀たちを襲った。
ついでに縁側につながる襖が倒される。
「あれ、結先輩じゃないすか。どうし─」
朱雀がそう言ってから、風雅の表情を見て言葉を切った。
「この家の結界が一時的に切れた」
「笑えねぇな」
水鳥が表情を険しくする。
「露李はどこだ?今あいつを一人にするとまずい」
「…え、縁側にいたはずですが」
「俺たちが来たときには露李ちゃん居なかったけど」
風雅の後ろから大地が静かに告げた。
「露李!どこにいる!?」
風雅が叫ぶが、応答はない。
「くそっ、何で目を離した!」
「今はそんなこといってる場合じゃないよ、結。露李ちゃんを探すことが先決だ」
大地の言葉に頷き、風雅は知恩の方を向いた。
「静。やれるか」
「勿論です」
知恩が空に手をかざした。
萌黄色の光の球が暗闇を照らす。
「【ここに残る記憶たちよ、今姿を現せ】」
ふわりと映像が浮かび上がった。
透き通った露李の幻影。
縁側に座り、何かに思いを馳せている。
未琴が現れた。
「こりゃ…」
風雅が、口を開いた。
一部始終を見た他の四人は言葉を発することができないでいる。
露李はしばらく人形のように固まっていたが、唐突にも顔をくしゃりと歪め、走って行った。
「…結界を破ったのは、露李だったのか」
朱雀が呟いた。
「上がりだ」
ババ抜きに熱中していた朱雀は、最後のカードを場に投げ捨てた。
「僕も上がりです」
知恩もふっと息をつく。
「もう一回だ、もう一回やれくそてめぇ」
水鳥が盛大に舌打ちをしてジョーカーを放った。
「おい露李ー、もう一回やんぞ」
「もう一回戦やると言った覚えはない」
「僕もです。ここは露李先輩に決めていただきましょうよ」
「そうだな。あいつは何やってんだ?」
朱雀が縁側に目をやる。
「お腹一杯で疲れたから、と夕涼みに」
そう知恩が答えたときだった。
ものすごい突風が朱雀たちを襲った。
ついでに縁側につながる襖が倒される。
「あれ、結先輩じゃないすか。どうし─」
朱雀がそう言ってから、風雅の表情を見て言葉を切った。
「この家の結界が一時的に切れた」
「笑えねぇな」
水鳥が表情を険しくする。
「露李はどこだ?今あいつを一人にするとまずい」
「…え、縁側にいたはずですが」
「俺たちが来たときには露李ちゃん居なかったけど」
風雅の後ろから大地が静かに告げた。
「露李!どこにいる!?」
風雅が叫ぶが、応答はない。
「くそっ、何で目を離した!」
「今はそんなこといってる場合じゃないよ、結。露李ちゃんを探すことが先決だ」
大地の言葉に頷き、風雅は知恩の方を向いた。
「静。やれるか」
「勿論です」
知恩が空に手をかざした。
萌黄色の光の球が暗闇を照らす。
「【ここに残る記憶たちよ、今姿を現せ】」
ふわりと映像が浮かび上がった。
透き通った露李の幻影。
縁側に座り、何かに思いを馳せている。
未琴が現れた。
「こりゃ…」
風雅が、口を開いた。
一部始終を見た他の四人は言葉を発することができないでいる。
露李はしばらく人形のように固まっていたが、唐突にも顔をくしゃりと歪め、走って行った。
「…結界を破ったのは、露李だったのか」
朱雀が呟いた。


