【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

○*○


「…花姫が、襲われた?」


時雨と扇莉から聞かされ、朱音は手から読んでいた本を取り落とした。


「そうだ。花姫が飢饉になる度に里に降りてくるのを疑わしく思った人間たちが、彼女を襲ったらしい。……全く、どうしたものか」


「どうしたもこうしたも、問題はそこか?時雨よ、粛清するべきは彼女の兄ではないのか?あやつは元より、力が顕現しないから里にいたのだろうが」


「どういうことですの?まさか、花姫の兄上が民衆の手引きを?」


「悲しいことだ。…里での立場を失わないために、妹を差し出したそうだ」


何てこと、と言葉を失う。

しかし、二の句を継ぐ前にバタバタと大きな足音がそれを遮った。

女房の一人だった。


「霧氷様が…お亡くなりに」


「何だと…?」


扇莉の声が震える。


「霧氷様が…花姫様を瀕死の目に遭わせた村、そして人間たちを焼き払ったそうです」


「だからといって!!何故あいつが死ぬのだ!?」


「落ち着いて下さい、扇莉!」


「落ち着けるか!!早く答えろ!!」


教えてくれた女房が怯えているのを見かねた時雨が割って入る。


「…すまない。続きを教えてくれないか」


「も、申し訳ありませんっ……世界に干渉したことから、花姫が“花霞”に霧氷様を封印なさいました」


空気が酷く、冷たい。

扇莉がへたりと崩れ落ちた。


「嘘だ、嘘だ───!!何故、何故だ!!どうしてっ…花姫は……!!」


ゆらり、と黒い気が漂う。


「扇莉、ダメですわ落ち着いて!!」


「花姫……」


扇莉の呟きが、朱音の頭から離れなかった。