素早く身だしなみを整え、鏡で確認してから開けるように目配せする。
すぐさま彼女が襖の外に消え、緊張で朱音の手が汗ばむ。
「──姫様、お連れしました」
鳥肌が立つような感覚がして、物凄い気を感じた。
どうぞ、と言う声が震える。
しかし緊張とは反対に、かけられた言葉は気さくなものだった。
「ごきげんよう、朱音さん!」
朗らかな可愛らしい声色。
栗色の髪で、優しい印象の美しい女が入ってきた。
彼女に続いて黒髪できつい顔立ちの女、そして長髪を片側で結んだ寡黙そうな男。
三人が三人とも美しく、朱音は大きく目を見開いた。
「お初にお目にかかります。次期秋篠家当主、秋篠 朱音にございます」
精一杯毅然としていたつもりだが、やはり気後れしてしまう。
それほどに三人は美しかった。
「まあ、そんなに気を遣わないで良いのに。初めまして、夏焼 花です。よろしくお願いしますね」
「よ、よろしくお願い致しますわ…」
「ほら、花。こんな風に訪ねるものではないぞ。朱音姫が困っている」
「扇莉ったら慎重ね。これから長い時間を共にするんですもの、私たち仲良くならなくちゃ」
ね、と花に微笑まれて何も言えずに頷く。
扇莉の言うことは的を射ていたが、朱音としても三人は憧れだ。
話しかけてもらえることほど良いことはない。


