「何でっ、こんなところに!!」
痛む腕も忘れて駆け寄る。
「落ち着け露李!!…朱音様が自分で創ったんだよ」
ピタリと動きを止める。
当惑した表情で檻の中の朱音を振り返った。
久しぶりに見る朱音はやつれ、疲弊していた。
「露李姫…」
朱音のか細い声が露李の名を呼んだ。
「朱音様、どうして」
「私は貴女に酷いことばかりして……」
「どうなさったんですか……?」
何かおかしい、と思った。
露李が眉を潜めた瞬間。
「ごめんなさい……」
冷え冷えとした気が辺りに漂い始めた。
感じたことのない冷たい気だった。
しかし嫌悪や憎悪のようなものではない。
「露李姫っ、離れろ!!」
焦った秋雨の声。
見ると、露李の握った鉄格子の一本が凍っていた。
息が白くなる。
蔵の中は暖かくなっていたはずだ。
しかし思うように身体が動かない。
バランスを失って転倒する。
すぐさま水無月と結が駆け寄り、抱き上げて朱音から離す。
「どういうつもりだ、貴様」
結に露李を託し、水無月が殺気をぶつけながら檻に近寄る。
乱暴に檻に手を入れて朱音の喉に手をかけた。
「殺されたいのか」
「ごめんなさい…!」
朱音が顔を真っ青にして後退した。


