一方、その頃。
朱音を閉じ込めている蔵で、水無月は秋雨を手伝っていた。
奥で縮こまっている朱音を胡散臭そうに横目で見ながら、薬草をちぎっていた手を止める。
「ねーえー。いつまでこんなことするわけ、秋雨くん」
「露李姫と朱音が話してからだな。そんなに嫌なら、また露李姫の護衛に戻れば良いだろう」
ごりごりと薬草をすり鉢で潰していく秋雨は、淡々と答えた。
宵菊が苦笑いしながら湯を鉢に注ぐ。
「秋雨、そんなに意地悪言わないの」
「事実だ。そもそも何故、水無月はこちらに来たのだ」
「はあ?そんなの露李に害をなそうとしたら危ないからに決まってんじゃん。この手ですぐに殺すよ」
「物騒な奴だなぁ相変わらず。しゃーねえけどよ」
そう口を挟んだのは睡蓮だ。
薬草を沢山入れた籠を床に下ろす。
「ねえ。星月夜は?アイツだけ何で来ないの?忘れてたけどー」
ぶーぶーと水無月が文句を言うが、秋雨は静かに答えていく。
「星月夜も来たがっていたが、あいにく他の用事があるのだ」
「他の用事?露李以外に大事なことなんてあるんだ」
「姫の中毒のようだなお前は。追って奴も来るだろう」
「へえ、来るんだ。何してんの今?」
「花霞の伝承がある地を巡っている。露李姫のためだ」
ふうん、と水無月は気のない返事をしてからまた朱音を見た。
ぱちりと目が合う。
瞬時に水無月の目が嫌悪に染まった。
朱音が目に見えて怯え、それにもまた苛立ちが募る。
「ねえ秋雨くん。ちょっと喋ってくる」
「ああ」
水無月は音もなく立ち上がり、朱音に歩み寄った。


