「ごめんね。君がそうやって我慢しちゃうのは、俺達のせいだね」
「それ、さっきも」
「うん。露李ちゃんの自分を犠牲にしてまで救おうとしたものは、俺達でしょ?自分で言うのもなんだけどね」
露李は躊躇いながらも小さく頷く。
文月は頭が良い。隠しても無駄なことは分かっていた。
「露李ちゃんが決めたことだけど、でもそうさせたのは俺達のせいだ。俺達の力不足が、君に事実上の死を選ばせた」
「違います、力不足なんかじゃ」
「君はそう言ってくれると思ったよ。…でもね、露李ちゃん。俺達がもっと君の心に寄り添っていたら、絶対に露李ちゃんと生きる世界を選ぶってことを伝えられていたはずなんだ」
後悔が交じる文月の声が露李の心を揺さぶった。
「君に重荷を背負わせてばかりだよ、俺達は。だから我慢なんてしないで。泣きたいときは泣いて欲しい」
う、とまた声が漏れる。
子供のような自分の声に驚いてまた躊躇した。
「大丈夫。俺は君を恐れない。平和で君がいない世界よりも、殺伐としてて君が生きている世界を俺達は生きたいと思ってる。大丈夫だよ」
怖かった。
いつか自分から離れていくかもしれないと言う恐怖は、露李の心に強く根差していた。
そして、自分が自分でなくなるような感覚。
自我を失う恐怖。
扱いきれない力の大きさ。
「大丈夫。君は大丈夫だよ…」
子守唄のような声色に、心が落ち着いていくのが分かった。


