会議を終えて、露李は外に出た。
夕方には朱音と会わねばならない。
水無月と秋雨たちは朱音の様子を見に戻り、美喜と海松は後片付けをしている。
守護者たちは結界を張り直すために出かけて行ってしまった。
清々しい青空が広がっていた。
もうすぐ春が来る。
あの幻の世界のような、美しい春がやって来る。
大きく息を吸い、冷たい空気を味わった。
寒い。
寒いけれど、心は温かかった。
冷たくて鋭い空気が自分を浄化をしてくれそうな気がして、露李は何度も深呼吸をする。
自分は決して清くなどないということは、既に分かっていた。
守護者たちを斬り、有明を斬った。
戦うということはそういうことだ。
有明の命が消えていく感覚は、いつまでも露李の中から離れない。
「───あ」
思わず声が漏れたのは、自分の頬に涙が伝っていたからだ。
どうして、と自分に問う前に、後ろでかしゃりと雪を踏む音がした。
振り返ると、優しい浅葱色が露李を見つめていた。
「あ、や、文月せんぱ…」
急いで手で拭おうとする。
泣いている所を見られたくはなかった。
弱い女だと思われたくなかった。
「我慢しなくて良いのに」
見透かしたような文月の言葉に身体が固まる。
しかし、身体が硬直するのとは裏腹に涙は溢れるばかりだった。
「見ないでっ…」
そう言うも文月はまた一歩近づき、露李を自分の方に優しく引き寄せた。
「分かった、見ないよ」
安心させるような声だった。
止まれと思うのに、涙は止まらない。
「皆、行ったと思ってたから私っ…」
「馬鹿だなあ、露李ちゃんは。一人にするわけないでしょ」
ぽんぽんとあやすように頭を撫でられる。


