一方、結は楽しそうにしている露李を見ながら文月と水無月のじっとりした視線に絡まれていた。
隣にいる文月は、結が何かを話すのを待つように。
水無月は特に何か言うわけでもなく、ただ見つめているだけだが、圧を感じる。
気まずい雰囲気に静に助けを求めようとするが、当の静は少食なので既に食べ終わり、秋雨と話し込んでいる。
「……で?」
痺れを切らした文月が不気味な程にこやかに首を傾げてみせた。
「な、なんだよ文月」
明らかに上ずった声に、文月の目がすうっと細くなる。
「何で結は顔を赤くして帰ってきたのかな?」
「あ、いや…」
「何?なんか俺に言えないことなの?」
うぐ、と言葉に詰まる。
これは言うべきなのだろうか。
いや、果たして言うようなことなのか。
ぐるぐると考えていると、隣から小さく溜め息が聞こえた。
「あーもう本当に分かりやすいよね結って。人との距離の取り方間違ってるもんねお前。良いよ、言わなくて」
「いや、何言ってんだ文月……?」
「いーえ。俺も堂々といけば良い話だよね。無自覚な奴にとられるなんてごめんだし」
むすっと文月が唇を尖らせる。
いつも大人な彼にしては珍しい表情だった。
そして、幼馴染みとしてその顔を見るのも久しぶりだった。
──何だこれ。
その表情に何故かざわざわする。
結は自分の心に首を傾げた。


