自分の部屋に荷物を置いて、露李は意気揚々と座敷へ向かう。 ふと、右手にある階段に目をやった 。 この階段の上には未琴の部屋がある。 呼ばれもせす、露李もあまり会いたくはなかった。 今まで母に会いたくないなんてことは一度もなかったのに。 お母さん。お母さん。 自分の中から聞こえてくる叫びを押し殺す。 「おーい、露李遅いぞ早くしろ」 朱雀の呼び声。 ハッと我に帰り、小走りで座敷の襖を開けた。 そして立ち込める良い香りを胸いっぱいに吸いこむ。