海松が席に戻り、露李が嬉しそうに口をもぐもぐさせているのを見ながら、疾風はゆっくりと口を開いた。
「…もう、身体は大丈夫なのか」
「うん、熱もないししんどくないよ」
「…なら良かった」
露李はぶっきらぼうな疾風の優しさが好きだった。
くすりと笑って右手の人差し指で疾風の頬につんと触れる。
「何だ」
「ごめんね疾風、心配かけて」
濃い青の目がちらりと露李を見やる。
そして不服そうにふいと前を向いた。
「えーなにー?」
「謝って欲しくはない」
難しいことを言うなあ、と思っていると、疾風の大きな手が頭に触れた。
「お前に泣かれるのはごめんだからな。アホ面してろ」
「あっアホ面!?あ、この前も言ったよね!?」
何食わぬ顔で箸を進める疾風を睨むと、理津の笑い声が聞こえてくる。
「なあに、理津」
「お前らほんと笑えんなぁ。疾風も疾風、お前もお前だよ姫様」
「何の話よ。あ、ねえ。理津、この前の言葉は…」
「あーあれは、そう。戯れだ戯れ。な?」
むっとしつつも黙っていると、また笑って理津が露李の頭を撫でる。
紫の目が面白そうに煌めいていた。
「ほんと面白ぇなあ」
「何よ。馬鹿にしてないで早く食べたら」
「へいへい。味わって食べますよ」
にやにや笑いの理津にぷんすかしながら口を動かす露李だった。


