久しぶりに皆で食べる食事は美味しく、憂いが無くなったように晴れ晴れしい気持ちだった。
美喜と海松が何かと露李が食べやすいように気を遣ってくれあまり不便なこともなかった。
とっておきの梅干しと食べるシンプルなお粥から、焼きたてのパンまで至れり尽くせりだった。
精進料理を食べているのかと思われがちだが、露李も一応は高校生である。
一度、美喜がいなくなってから仲良くなったクラスメイトに精進料理を食べているイメージがあると言われたのを思い出し、くすりと笑う。
「どうしたのよ急に。気持ち悪い」
「相変わらず口悪いなあ。いや、私が精進料理ばっかり食べてそうなイメージって言われたの思い出して」
美喜は露李が手に持ったパンを一瞥し、ああと頷いた。
「まあ確かに、巫女はパン食べる印象ないわよね。あんた普段着も着物のが多いし」
「普通に出掛けるときは服だよ?」
「分かってるわよ。まあでも、ふふ。そうね」
美喜は何だか嬉しそうに笑い、白米を口に運んだ。


