屋敷の扉を開ける。
「お帰りなさいませ。露李さま、朱雀さま、水鳥さま、知恩さま」
海松が正座をして出迎えた。
「海松。正座なんてしなくて良い」
開口一番、朱雀は顔をしかめて言った。
「そんなわけには。風花姫様と守護者の方々ですから」
「お前なぁ、幼馴染みなんだから…」
「そうだよ海松ちゃん」
本当に申し訳ないな。
「海松ちゃん」
露李がすっと海松の手を取り、流れるような動作で立たせた。
「そんなことしなくて良いの」
私は力のない姫だから。
海松が目を見開いた。
「露李さまは風花姫様です。私は信じております」
「…ありがとう」
海松のどこか確信めいた言葉に照れた露李はふいっと顔を背ける。
「さぁ、皆さんお夕食の準備ができております」
海松が顔を明るくして促した。
「今日は一段と早いんだな」
まだ五時半だ。
「健康的でしょう?」
確かに、お腹が空いている。
一同、頬を弛めた。


