「ところで、氷紀兄様はどうして眠ってたの?」
ふと気がついて尋ねると、異様な空気がその場に流れた。
外に控えていた守護者たちからもピリッとした雰囲気が漂ってくる。
「えっと、それは……」
珍しく水無月が口ごもり、海松も僅かに手を止めた。
「私が眠っている間に何か…昔の私が何かした?」
勘の鋭い露李は騙せない。
水無月がぐっと拳を握り締めて口を開こうとする。
「それは後だ!着替えてから皆で話すぞー!」
襖の向こうから結の声がした。
「あ、そうですね。急ぎます」
何か事情のあるものだと納得して、髪をとかして整える。
「もう大丈夫だよ、海松ちゃん。後は一人でできるから」
「はい。では、失礼します。お食事の準備をしてきますね」
「ありがとう。氷紀、もう出てきて良いよ」
衝立から水無月が出てくる。
心配そうに露李の頭を撫でた。
「……どうしたの?」
おとなしく撫でられていながら尋ねる。
「何でもない。行こうか」
「はい」
どこか悲しげに見える水無月に、何か不穏なものを感じた。


